Quadrophenia - アーカイヴ

かつてあったblogの残滓

長谷【一花屋】

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    2. 2013/07/03(水) 20:40:43|鎌倉

 2011年の震災で半壊となってしまい、結局取り壊してしまったのだけど、 福島に僕の父方の祖父母が建てた家があった。敷地は100坪以上あったので、東京だったら大したものだと思うのだけど福島のその界隈では、取り立てるほどの家でもなかった。
 しかし、そこは子供の頃は、正月、春休み(彼岸)、GW、お盆、祖父の命日、秋の彼岸、冬休みと兎に角連れて行かれたし、何よりも2年ほど祖母と一緒に暮らした家でもあった。

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 ある時、祖母の実家や祖父の実家へ行って驚いた。間取りがほぼ同じであったのだ。親戚の家も大概同じか、左右反転したような造りで、どこの家にも奥に庭に面して縁側と和室があった。

 そこで子供の僕は、従兄弟たちと相撲のまね事をしたり、かくれんぼ
をしたり、永遠に子供の時間が続くのでは、と思って遊びに遊んだ。あの頃、すぐ近くに原発があるなんてことは全く考えていなかった。

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 平日の昼間に、鎌倉の外れのひっそりとしたカフェ、それも意味不明の
【手ぬぐいカフェ】に集う人たちは、学生と主婦、だったろうか。

 置かれている、或いは飾られていた、モノたちにはそれなりにこだわりがあったのだろうけど、僕的にはもうこの普請そのものだけで十分にアピールを感じるものだった。

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 最初こそ、暑さを駕ぐために、冷たい柑橘系のジュースを頂いたのだけど 時間の経過とともに、濡れた服は少しずつ僕の体温を奪いとり、そして乾くにつれて僕の何かを一緒に庭、そして空へと放射していった。

 気がつくと、僕は震えるほど寒さを感じていて、思わずミルクティーを頼んだ。

 そして、運ばれてきたのは、菩薩のような線画が描かれた、取っ手のない、湯呑みのような器に淹れられたホットミルクティーだった。今度は昼の明かりが徐々に消え入るにつれて、そのミルクティーが僕に体温と力を与えてくれたようだった。